人気個室の取得法

 
このページは作者の経験をもとに、独断と偏見によるもので、場合(特に季節)によっては、事実と異なる内容であるかもしれません。このことをご承知の上で、本ページをご覧いただけますようお願い申し上げます。

 
1.はじめに

北斗星、カシオペア、トライライトエクスプレス、サンライズ瀬戸/出雲の個室はとりにくいですね。乗車1ヶ月前はなかったのに、1週間前に行ったらあった、乗車当日にとれた。こんな経験はありませんか。ここでは、このような疑問にお答えするとともに、作者の経験から、独断と偏見ではありますが、人気個室の取得法について紹介します。ただし、パック旅行ではなく、一般販売による取得法とします。

【北海道方面寝台列車】
 寝台券は1ヶ月前の午前10時から発売されます。ロイヤルは発売から1秒以内で売り切れることがあり、ソロやツイン、および、カシオペア全室は発売から数分で売り切れます。このため、普通の買い方をしたのでは、まずとれないと思って下さい。これらの人気個室を取得するには、並々ならぬ努力と執拗さが必要です。

【山陽/九州方面寝台列車】
 サンライズ瀬戸/出雲を除けば、それほど人気があるとは思えません。発売1ヶ月前のなるべく早い時期にアクションを起こせば、まずとれるでしょう。サンライズ瀬戸/出雲については、シングルDXとツインは部屋数が少ないため、とりにくい個室ですが、それ以外の個室は、早めにアクションを起こすことでとれると思います。


 
2.網を張る

「網を張る」、某サイトにこのような表現がありましたので、それを引用します。「網を張る」とは、発売1ヶ月以上前(できればその前日)に予約受付を扱うJR窓口や旅行会社に個室の予約を申し込むことです。なるべく多くの窓口に申し込み、1ヶ所でも希望の個室がかかれば成功です。あたかも、網を張り、網にかかる魚を捕まえるようなものです。

窓口がどのような方法で個室を捕りに行くかは分かりません。普通のやり方では、まず無理でしょう。ここは、「下手な鉄砲も数撃てば当たる」の諺どおり、なるべく、多くの窓口に頼み、確率で勝負します。捕れた場合、たいていは電話で結果を知らせてくれます。ただし、全てのJR窓口や旅行会社が予約を受け付けてくれるとは限りません。むしろ、このような窓口は少ないです。

この方法では、複数の個室がとれてしまった場合のキャンセル料(1枚320円)を覚悟しなければなりません。もっとも、切符を受け取らない限りキャンセル料は発生しません。なじみの薄い窓口で個室の切符だけを買うつもりなら、切符を受け取り、後日、キャンセルしましょう。一方、なじみの窓口とか、乗車券などをそこで買うつもりなら、とれてしまった余剰の切符は、受け取らなくてもよいでしょう。今後のこともありますので、窓口には、なるべく悪い印象を与えないようにする方が得策です。

私の初個室はカシオペアでした。このときは、たった2社ですが網を張りました。結果は両方とも逃がしました。代わりに、3節で述べる10時ジャスト打ちでとることができました。


 
3.10時ジャスト打ち

寝台券を含め、ほとんどの切符が乗車1ヶ月前の午前10時から一斉に発売になります。10時ジャスト打ちとは、10時ジャストにマルス(券売機のこと)をたたいてもらうことです。その前に、寝台のタイプや利用人数など必要事項を、マルスに誤りなくインプットしておかなければなりません。そして、10時ジャストにデータを中央コンピュータに送るのです。

ロイヤルなど超人気個室は1ヶ月前の午前10時で瞬時に売り切れます。このため、正確に10時ジャストにマルスをたたかなければ勝ち目はありません。少しでも早すぎると中央コンピュータが受け付けてくれません。遅すぎると出遅れます。これは、1/100秒を争う争奪戦です。このためには窓口に正確な時計が必要です。

次に重要なことは切符の受付順です。駅員さんは10時前に切符のデータをマルスに入力しておき、受付順にこれを呼び出して発券します。1番ならいいですが、2番では出遅れます。1番は10時ジャストにマルスをたたけますが、2番は1番の発券が終わってからになるからです。したがって、絶対に1番になる必要があります。

10時ジャスト打ちには経験豊富な駅員さんが必要です。実際問題、10時ジャスト打ちをお願いできる駅は少ないです。大きな駅では客が多すぎてダメだし、小さな駅では経験不足でダメです。大きからず、小さからず、マルスが2〜3台あり、1台を10時ジャスト打ちに空けてくれる駅でなければなりません。

それでは、私の経験から10時ジャスト打ちの模様を実況中継しましょう。

この駅は朝6時にシャッターが開きます。6時前にシャッターの前で待ち、シャッターが開くと同時に窓口に飛び込みます。これで、まずは一等賞を確保しました。予め用意した切符の申込書を提出し、駅員さんと切符の条件を打合せます。そして、マルスにデータを入力したことを確認し、一旦、家に帰ります。

10時少し前に再び駅に行きます。申込書を受け付けてくれた駅員さんは、どうやら前日当直の駅員さんのようです。なにやら、別の駅員さんと打合せをしています。(私:おぃおぃ!大丈夫かよ)。10時1分前、日勤の駅員さんがマルスの前に座ります。数人の駅員さんが珍しそうに集まってきます。10時30秒前、窓口にJJYの時報(電話の時報サービスのこと)が、スピーカら流れます。

「間もなく10時ちょうどをお知らせします。ピッ、ピッ、ピィ、プゥー」。緊張の一瞬です。駅員さんの指がぴくっと動きました。(私:ちょっと、早いんじゃないの)。確かに、0.1秒ほど早いと思いました。しばらく沈黙。周りの駅員さんも固唾を呑んで見守っています。おそらく5秒ほどだが、それがすごく長く感じました。そして、マルスから切符が吐き出されると、駅員さんが、「とれました」。

さて、10時ジャスト打ちで必ずとれるという保証は全くありません。その後、5〜6回、これにチャレンジしましたが、とれたのは、おおむね、半数です。ときには、一般販売ゼロということもあり得ます。これでは、ベテランの駅員さんでもお手上げです。このような場合は、4節で述べるキャンセル待ちが有効です。


 
4.キャンセル待ち

個人の旅行にも原因がありますが、1ヶ月前にとれない原因として、旅行会社のパック旅行やホテルを組み合わせた指定券の先行手配が考えられます。パック旅行の場合、団体扱いの寝台券であり、一般販売で買うことはできません。多くの旅行会社が先行手配を行うと、時として、一般販売ゼロということもあり得ます。
 
(1) 1ヶ月前に希望の個室がとれなかった場合、B寝台に空きがあるかどうかチェックしてみて下さい。寝台券を買うとき、窓口に問い合わせるのもよいですし、ネットで空席情報サイトをチェックするのもよいでしょう。B寝台も満席(×)、または、ほぼ満席(△)の場合、原因は旅行会社の先行手配と考えてよいようです。このような場合、とれる確率は高いです。
(2) 先行手配とはいえ、寝台券を発券できるのは1ヶ月前からです。このとき、旅行会社は確保しすぎた寝台をJRに戻すことがあります。
キャンセルの狙い目:1ヶ月前の夕方、もしくは、その翌日
(3) 旅行会社のパック旅行の締め切りは10日前が多いようです。このあたりから、空席情報は「○」に変わってきます。旅行会社は、売れ残った寝台を1週間前までに、(1週間前が土日なら、その前日の金曜日に)、JRに戻します。
キャンセルの狙い目:10日前から7日前
(4) 1週間前を過ぎても、旅行会社は、顧客のグレードアップへの便宜を図り、キャンセル料覚悟で人気の個室を買い取ることがあります。ここで、売れ残った個室は2日前までにJRに戻します。これは、戻さないとキャンセル料が高くなるためです。
キャンセルの狙い目:3日前から2日前
(5) 最後に、直前でのキャンセルや乗車変更する方もいますよね。
キャンセルの狙い目:前日と当日の乗車直前まで

以上、キャンセルは確率的な動向で、個々の旅行会社の振る舞いが異なること、個人のキャンセルもあることで、キャンセルはいつでるか分からないと考えて下さい。しかしながら、確率的には、出発日に近いほど多くでるようです。これが、帰りの切符の場合、旅行先でキャンセル待ちをしなければならない状況になることを、覚悟しなければなりません。

旅行の日程が決まっている場合は、とりあえず、希望でなくても確保できる切符を確保しておき、出発直前まで粘ってみて下さい。かなりの高い確率で希望の寝台をゲットできるはずです。

さて、キャンセル待ちを受け付けてくれるJR窓口や旅行会社もありますが、必ずしも多くはありません。キャンセル待ちを受け付けてくれない場合は、その都度、駅に通うことになります。

●重要事項

乗車変更は1回目は無料、2回目は手数料を払ってキャンセルし、買い直すことになります。例えば、

B寝台 → ソロ → ロイヤル
と変更する場合、ソロが出たとき、B寝台をソロに変更しないで下さい。変更すると、ロイヤルへの変更は、キャンセル、買い直しになり、もし、ロイヤルが乗車前日または当日に出た場合、キャンセル手数料は寝台料金の30%(1,890円)になります。一方、ソロが出たときに、B寝台をキャンセルして(手数料320円)、ソロを買えば、その後、ロイヤルへの変更は手数料無料です。

なお、ぐるり北海道フリーきっぷにおいて、B寝台またはソロなどの無料券からロイヤルなど有料券への変更は、乗車変更ではありません。無料券をお返しして、有料券を買うことになりますので、手数料は発生しません。


 
5.おわりに

人気個室を取得する秘訣を述べましたが、これで100%とれるとは限りません。最近はキャンセル待ちだけを行っています。確率的には、これが最も確実だと思っています。ネットの空席情報をチェックするのも重要です。空席情報はB寝台しかできませんが、B寝台に空きが多いときは、個室にも空きがあるはずです。事実、B寝台の空席情報は、出発日が近づくにつれて、「×」→「△」→「○」と変わってゆきます。大口の団体がなければ、出発当日、B寝台が満席になることはないでしょう。

人気個室は、発売直後(乗車1ヶ月前)の数日間と、これを逃したら、10日前から出発直前まで、出発日が近づくにつれ、とれる確率は高くなります。

人気個室を取得するには、焦らないこと、諦めないことです。旅行の日程が決まっている場合は、焦りがちですが、まず、B寝台でも、とれるものからとっておいて、何回もキャンセル待ちを行います。出発直前まで諦めてはいけません。そして、希望の個室がでたところで乗車変更を行います。秘訣は、「出発日が近づくにつれ、とれる確率は高くなる」、これにつきると思います。そして、個室の取得に苦労すればするほど、旅行が楽しくなるものです。


 
寝台列車の館★ホームページ
ご希望の寝台がとれますように!