切符の変更とキャンセル

 
目次
  1. 未使用の切符のキャンセル
  2. 未使用の切符の変更
  3. 使用開始後のキャンセル
  4. 使用開始後の変更
  5. 事故などによる取り扱い
  6. クレジットカードで購入した切符


はじめに

本ページでは、通常の乗車券類(乗車券、特急券、寝台券など)を対象とし、その変更とキャンセルについて解説します。本題に入る前に、乗車券を表1のように2つに分類します。ルール上では、途中下車できる/できないの分類ですが、乗車券の変更やキャンセルでは、その扱いが異なります。
 

表1 乗車券の分類
分 類 説 明 途中下車
乗車券A (イ)100キロ以下の乗車券
(ロ)発着駅、経路が大都市近郊区間内の乗車券※
できない
下車前途無効
乗車券B 100キロ超の乗車券で、(ロ)を除く できる

この分類は、JR規則によるものではなく、便宜上の分類で、本ページのみで有効とします。

【※】大都市近郊区間とは、現在、東京近郊区間、大阪近郊区間、福岡近郊区間、新潟近郊区間が設定されています。この区間内だけで発着の乗車券は、乗車経路がこの区間内だけであれば、運賃は、乗車駅と下車駅の最短経路となります。


 
1.未使用の切符のキャンセル

未使用の切符を、個人の意志でキャンセルする場合は、表2の払戻手数料が徴収され、払い戻すことができます。払戻手数料は、おとな/こども同額、また、払戻額が払戻手数料より少なくなっても、不足額は徴収されません。
 

表2 払戻手数料
切符の種類 払戻条件 手数料
普通乗車券
(片道・往復・連続)
有効期間前
または
有効期間内
220円
自由席
自由席特急券
特定特急券
急行券
自由席グリーン券
指定券
立席特急券 出発時刻まで
指定席特急券
指定席グリーン券
寝台券
座席指定券
出発2日前まで 330円
出発前日から
出発時刻まで
30%※
最低330円
【※】30%とは、
 特急券・寝台券は、寝台料金の30%
 特急券・グリーン券は、グリーン料金の30%
 指定席急行券は、料金総額の30%

●複数の切符を1枚と数える場合

  1. 往復乗車券
  2. 連続乗車券
  3. 複数の新幹線に乗り継ぐ特急券
  4. 在来線の2本の特急を通し料金で扱う区間の特急券
上記3と4は改札を出ないことが条件です。この場合、1枚の特急券と乗り継ぐ特急の指定券が発券されることがありますが、料金が「\***」と記された指定券は枚数に数えません。

●乗車券と料金券を1枚で発券した場合

乗車券、料金券のそれぞれに、表2を適用します。

●設備定員が複数の寝台個室(補助寝台を含む)の払戻手数料

2日前まで330円、出発時刻まで寝台料金総額の30%です。

●特急券・寝台券の一部払い戻しにおける手数料

大人と小児、または、小児2名で1個の寝台を使用するため購入した2名分の特急券のうち、1名をキャンセルする場合の払戻手数料は、出発時刻まで220円です。

【払戻場所】
 未使用の切符のキャンセルは、全国の駅の精算所(みどりの窓口)、旅行センター、主な旅行会社で扱います。

●天候、事故などが原因のキャンセルは、払い戻しの手数料無料です。


 
2.未使用の切符の変更=乗車券類変更

使用開始前の変更を、JRの規則用語で、「乗車券類変更」といいます。変更後もその切符を同じ人が使用することを前提にしますので、これに矛盾した変更はできません。例えば、大人と小人相互の変更はできません。

乗車券類変更は、使用開始前で有効期間を過ぎなければ、1回に限り、手数料なしで、同じ種類の切符、または、自由席から指定席に変更できます。乗車券については、片道は片道、往復は往復、連続は連続と、同じ種類でなければ変更できません。料金券については、図3に示すとおり、同じマスの中どおしの変更と、矢印で示す自由席から指定席への変更ができます。

差額について、不足額は徴収され、過剰額は払い戻されます。
 

自由席グリーン券
(A)特急・急行用
(B)普通列車用
指定席特急券
指定席急行券
指定席グリーン券
寝台券
座席指定券
立席特急券
自由席特急券
自由席急行券
図3 未使用の切符の変更

変更できるのは、乗車日、列車、発駅、着駅、経路です。すなわち、任意の日付、全国の全ての列車、いかなる区間にも変更できます。変更した切符には、「乗変」と印字されます。変更が2回目となる場合は、払い戻し、買い直しの扱いになります。

ただし、券面の記載事項のうち、同じ列車で同一区間、かつ、同じ指定席タイプへの変更は、乗変の回数に数えません。例えば、窓側と通路側、禁煙と喫煙、B寝台上段と下段の変更がこれにあたります。一方、B寝台からソロへの変更は、料金は同じですが、指定席タイプが異なるため、乗変の扱いになります。

天候、事故などが原因の乗車券類変更は、乗変の回数に数えません。

●寝台個室(補助寝台を含む)に絡む乗車券類変更

設備定員が同じことが変更の条件です。人数が増える方向は、同数変更、人数追加で可能ですが、減る方向は不可、キャンセル(要手数料)、買い直しになります。

設備定員とは、座席、寝台とも1個につき1名と数えます。2人用寝台個室の設備定員は2名、1人用寝台個室は1名ですが、補助寝台使用では2名になります。

●その他

【おとなとこども】
 おとな/こども間の変更はできません。

【学割】
 変更後も学割の条件を満たせば、学割が適用されます。満たさなければ、無割引での変更になります。

【取扱場所】
 未使用の切符の変更は、切符の有効期間前または有効期間内に、全国のみどりの窓口、旅行センター、主な旅行会社で取り扱います。


 
3.使用開始後のキャンセル

ここでは切符を使用し始め、旅行を途中で中止する場合の未乗車区間に対する払い戻しについて述べます。

●次の切符は、使い始めると、払い戻しできません。下車前途無効になります。

  • 乗車券A
  • 料金券
●次の切符は、使い始めても、払い戻しできます。
  • 未乗車区間が100キロ超の乗車券B(注参照)
  • かえり券が未使用の往復乗車券A,B
  • 連続2券が未使用の連続乗車券A,B
[注]区間変更によって未乗車区間が100キロを超えたものは、払い戻しできません。

乗車券の払い戻しに関し、払戻条件、払戻額、および、手数料を表4に示します。
 

表4 乗車券の払い戻し
払戻条件 払戻額、"−"は引き算 手数料
片道
未使用 全区間 220円
未乗車100キロ超 全区間−既乗車区間
未乗車100キロ以下 払い戻しなし -
往復乗車券
全券未使用 全券 220円
ゆき券未乗車100キロ超 全券−既乗車区間
ゆき券未乗車100キロ以下 かえり券
全券−無割引ゆき券=A
かえり券未乗車100キロ超 かえり券−既乗車区間
A−既乗車区間
かえり券未乗車100キロ以下 払い戻しなし -
赤字は、往復割引乗車券。連続乗車券は、連続1券=ゆき券、連続2券=かえり券、と読み替える。

【学割乗車券】
 既乗車区間が割引の条件を満たせば、表4は学割運賃で計算します。

【取扱場所】
 使用開始後のキャンセルは、旅行を中止した駅で乗車券の有効期間内に行います。旅行中止駅が無人駅の場合は、隣接の有人駅で行うことになっていますが、そこに行けない場合は車掌の指示に従って下さい。


 
4.使用開始後の変更=区間変更

使用開始後、可能な変更を表5に示します。これらの変更をJRの規則用語で「区間変更」といいます。

区間変更で変更できるのは、着駅と経路であり、発駅は変更できません。また、自由席から指定席(グリーン、寝台を含む)への変更も可能で、区間変更と組み合わせることもできます。これらの変更を行うとき、車内または下車駅で精算します。

差額について、不足額は徴収され、過剰額は払い戻されません。
 

表5 使用開始後の変更と精算額
原券 条件 精算額
乗車券A 条件によらず 全区間の差額
乗車券B 乗り越しによる着駅変更 乗越区間の運賃
途中から分岐する着駅変更 変更区間の差額
経路変更 変更区間の差額
料金券 条件によらず 全区間の差額

(変更区間の差額)=(変更区間の運賃)−(不乗車区間の運賃)

変更区間が複数のときは、最初の変更開始駅から最後の変更終了駅(分岐の場合は着駅)までを、変更区間とします。

【往復/連続乗車券】
 ゆき券、かえり券それぞれに、表5のルールを適用します。変更の結果、往復の条件を満たさなくなってもかまいません。連続乗車券も同様です。(往復割引乗車券を除く)

券片ごと変更を行うため、例えば、「東京-仙台」の往復乗車券を、「東京-山形」の往復乗車券に変更はできません。この場合、ゆき券は区間変更の扱いで変更できますが、かえり券はキャンセル(手数料220円)、買い直しになります。

【往復割引乗車券】
 往復とも同じ変更で、かつ、変更後も往復割引の条件(600キロ超)を満たす場合に限り、変更できます。精算額は、変更区間と不乗車区間の無割引運賃で計算します。

これ以外の変更は、前途を払い戻し、新たに必要区間の乗車券を買い直すか、別途乗車(原券はそのままで、変更区間の乗車券を別途買う)のどちらかになります。往復割引が取り消されるため、変更区間が短い場合は、別途乗車の方が有利になります。

【学割】
 変更の結果、学割の条件を満たさなくなってもかまいませんが、変更区間には学割は適用されません。「変更区間の差額」は、変更区間と不乗車区間の無割引運賃で計算します。

●変更後の有効期間
 
乗車券A: 全区間の変更になり、有効期間は、変更後の乗車券に従います。
乗車券B: 原券の有効期間と、変更区間のみの所定のルールによる有効期間のうち、長い方になります。この場合、変更区間の利用開始日は、原券に一致させます。

●変更後の途中下車
 
乗車券A: 全区間の変更になり、途中下車は、変更後の乗車券に従います。
乗車券B: 変更区間内でも途中下車できます。ただし、変更した結果、乗車券Aとなれば、途中下車できなくなります(下車前途無効になります)。

例えば、「東京山手線内→甲府→東花輪」は、途中下車できる乗車券(乗車券B)です。この乗車券の一部区間、「甲府-東花輪(身延線)」を「甲府-韮崎(中央線)」に区間変更すると、変更の結果、東京近郊区間内の乗車券(乗車券A)になり、途中下車できなくなります。


 
5.事故などによる取り扱い
切符 取り扱い
乗車券 無賃送還 指定の列車で出発駅まで送還し、全額払い戻し。払戻請求は出発駅。無賃送還中は途中下車できませんが、もし、途中下車した場合は、下車駅を旅行中止駅として、下記と同じ。
旅行中止 旅行中止駅から券面の着駅までの運賃が払い戻されます。学割、往復割引などの割引乗車券については、割引の条件に関わらず、払戻額に同じ割引率を乗算します。払戻請求は旅行中止駅
旅行継続 有効期間の延長、または、JRが指定する他経路(振替輸送)で旅行を継続できます。運賃の差額は、過剰額が払い戻され、不足額は徴収されません。割引乗車券については、同じ割引率を適用して、差額を計算します。払戻請求は旅行終了駅
特急券
急行券
2時間以上
遅延
全額払い戻し。ただし、遅延を承知で乗車した場合や、在来線の特急券で、新幹線による振り替え輸送が行われた場合は、払い戻しはありません。
途中
運転中止
全額払い戻し。ただし、運転中止駅が「大宮-東京」、「品川-東京」、「品川-池袋」、「大阪-新大阪」の間の駅で、下車駅もこの間の駅の場合、差額のみの払い戻しとなります。
寝台券 朝6時まで、一部区間でも寝台を利用できなかった場合、全額払い戻し。
グリーン券
座席指定券
一部区間でも所定の設備を利用できなかった場合、全額払い戻し。
上記の表は、使用開始後、事故や天候などによる運休、遅延などの場合の取り扱いです。

●使用開始前

【購入前】
 列車の運転ができない区間を発着または通過となる切符の発売を保留します。また、バスなど代替運送や他経路で連絡できるようになった場合は、その区間が開通したものとして切符を発売します。

【購入後】
 旅行を中止する場合は、手数料なしでキャンセルできます。

●使用開始後

【特急・急行列車が途中駅で運転中止の場合】
 後続の特急・急行列車(運転中止の列車が急行の場合は急行列車)に乗車し、旅行を継続できます。または、無賃送還、旅行中止の処置も選択できます。これらの扱いは上表のとおりです。

【列車の遅延により、乗換列車に接続できなかった場合】
 後続列車の料金券は、手数料なしでキャンセルできます。また、予定の到着時刻より2時間以上遅れることが見込まれる場合は、無賃送還、旅行中止の処置も選択できます。これらの扱いは上表のとおりです。


 
6.クレジットカードで購入した切符

最近は、旅行会社のみならず、JR窓口でもクレジットカードで切符が買えるようになりました。切符の購入、変更、キャンセル、特に、キャンセルや変更において、トラブルがないよう、ここでは、クレジットカードで購入した切符の扱いについて述べます。はじめに、重要な点は、

  • 払い戻しは、クレジット会社からの銀行逆振込によって行われる。
  • このため、切符のキャンセルや変更は、切符を購入した窓口で行う。
これは、通常の買い物を返品(キャンセル)したり、交換(変更)するときも同様で、クレジットカードで購入した切符を現金化できないよう、配慮したものです。この「現金化」というところを念頭におけば、キャンセルや変更の仕組みを容易に理解できます。

切符のキャンセルや変更を行うとき、購入時と同じクレジットカードが必要です。また、購入時に受け取った「カード利用控」があると、手続きをスムーズに行うことができます。

旅行途中で、キャンセルや変更が生じ、現地に切符を購入した窓口がない場合は、JR窓口で「払戻可」の証明をもらいます。そして、帰宅後、切符を購入した窓口で払い戻します。この払い戻しの期限は1年以内です。

差額が発生しなかったり、自由席から指定席など不足額を払う方向の変更は、クレジットカードで買った切符であっても、JR窓口で扱ってくれることがあります。これは、直前の変更であって、変更しても、現金化は不可能と判断できる場合に限ります。あくまで、窓口の判断によりますので、このことに期待してはいけません。

  • 乗車変更が予定される切符は、現金で買いましょう。

 
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